養護教諭の1日

始業から放課後まで

養護教諭

始業前

ほとんどの学校ではだいたい8時頃から職員会議、朝の打ち合わせが始まります。 その時間には職員室で待機しなければならないので、それまでにいつでも生徒を迎えられるよう保健室の準備をしたり、校内を巡視します。 校内の巡視では主に健康管理に繋がる事柄をチェックします。 窓を開けて新鮮なおいしい空気を校舎内に入れる、手洗い場には石鹸があるか見る、トイレにはちゃんとトイレットペーパーが足りているかの確認など、やるべきことは数え上げればきりがありません。 生徒が掃除の時間に補充しているはずの物もあるでしょうが、だからといって常に満足できる状態になっているとは限りません。 生徒のやることが全て完璧であるとは言いがたいですし、掃除して備品の補充をした後に大量に消費されていることもないとは言えません。 掃除完了から放課後の間にも物凄く手が汚れて石鹸を使いまくった生徒がたくさんいるかもしれませんし、派手に転んだり泥水や池に落っこちて全身汚れてしまい、 石鹸を使ってお風呂に入るかのように体中洗いまくった児童がいるかもしれません。そうなると今度は身体を拭くのにトイレットペーパーも使うでしょう。 一回のトイレで使われる量とは桁違いで、丸々1つ使ったって不思議ではありません。友達と何人かで池に落っこちたのであれば、トイレに置いてある分を全て使い切ってしまうことすらありえます。 時として生徒は大人には考えられないような行動をするものなのです。そのことを肝に銘じて、自分の先入観だけで物事を考えずに柔軟な発想で、あらゆる可能性に対処しなければ養護教諭は勤まりません。

授業中・日中

授業中は体育の授業で怪我をしたり具合の悪くなった生徒をベッドで休ませながら、手があいた時間に健康に関する事務仕事を行います。 地味な作業ですが、掲示板に張り出す保健だよりや保護者向けに生徒に配るプリントの作成、健康診断の結果をまとめたりと目立たない仕事が多くあります。 掲示板の展示物なんかは生徒の大部分が興味を持たずあまり読まれないのでやりがいも少ないでしょうが、手を抜いてはいけません。 それを読んでくれる生徒に健康に関する正しい知識を伝えるためにも、誠心誠意心を込めて作りましょう。 生徒への対応も簡単な治療だけでなく、そこから場合によってはおしゃべりから悩み相談へとシフトしていくこともあります。 成績が伸び悩んでいたり進路についての悩みだけでなく、友人関係や恋愛についての相談をされることもあるでしょう。 深刻なものになると同級生にイジメられている、という相談を受けるかもしれません。担任の先生には言いにくいことでも保健の先生になら話しやすいこともあります。 そんな時はやっかいごとに巻き込まれたなぁ、とは考えずに生徒の将来を考え、担任の先生とも協力して問題解決に尽力しましょう。 イジメ問題はそのまま放置しておくと不登校や生徒の自殺といった、もっと大きな問題に発展してしまうこともあります。 もしイジメが原因で自殺でもしたらニュースで報道され学校の評判も悪くなってしまいますし、相談をしてくれたのに助けてあげることが出来なかったと一生悔やんでしまうでしょう。 そうならぬように生徒の声はしっかりと聞き、正しい対応をとるべきです。

放課後

放課後も生徒の来訪に対応しつつ、隙をみては事務仕事をこなしていきます。 放課後の時間は部活動をする生徒がほとんどですので、運動部で怪我をした生徒がやってくることが多いでしょう。 部活動が絡むとわりかし大怪我の生徒も現れますので、そのまま病院に付き添うこともあります。 かすり傷程度なら保健室の治療で充分ですが、たくさん血が出たり骨折の可能性があるような怪我ですと保健室の設備では手に負えませんし、なによりその資格を教諭である保健の先生は持ち合わせていないのです。 校長先生や保護者の方に連絡をして病院に連れて行くか救急車の手配をしますが、病院での治療が終わるまではそのことにつきっきりになるでしょう。 生徒を預かる教諭としては当然の責任で、勤務時間の夕方5時を過ぎても定時に帰宅できることはほとんどありません。 放課後にそのまままっすぐ帰宅する生徒は少なく、部活動だけでなく図書室で自習をする生徒や教室で友人とおしゃべりをする生徒など、相当数が居残りをしています。 そんな生徒を残してさっさと帰宅する養護教諭は責任感がないと思われてしまい、生徒だけでなく他の先生にも信用されくなるでしょう。 部活動で怪我をしたので顧問の先生が保健室に生徒を連れて行ったらカギが閉まって入れない、保健の先生は帰宅しました、なんてのは最悪です。 ほとんどの生徒が学校から去ってから、ようやく保健室にカギを掛け暖簾をおろすことができるのです。 それまでは日中と同じよう、ピンチの生徒を守るために保健室で待機していなければならないのです。