養護教諭の業務

生徒を健康面でケア

包帯

養護教諭の仕事

養護教諭は普段学校でどのような仕事をしているのでしょうか。 保健室の先生と呼ばれるだけあって怪我をして保健室にやってきた生徒の治療を行うのが一番知られている役割でしょう。 ですが保健室で優しく怪我や病気の生徒の救急処置を行いますが、本格的な治療を施すことはできないということはあまり知られてはいません。 養護教諭は教諭であり医師ではないため治療行為を行うことは認められていない、この事実を知っている生徒はいないかもしれません。 そのため大怪我をしたりと生徒に深刻な症状がみられたら、担任や校長先生の許可を得て保護者に連絡をして病院に連れていき、そこで本格的な治療を受けさせるしかないのです。 万能に見えて頼りがいのあるナイチンゲールのような保健室の先生でも、職業は医師ではなく教諭なので治療のスペシャリストではありません。 学校にいるお医者さんが保健の先生と思われがちですが、実際には医師ではないということに気付いていない生徒や保護者も多く居ます。 よく考えたら学校の健康診断では外部から医師を呼んで行いますし、簡単な薬品や絆創膏は保健室においてあっても病院でみかけるような器材はありませんので、お医者さんと結びつける要因はないはずなのです。 誰にでもできるような怪我の治療、体温計で熱を測るような診断はできても、聴診器で生徒の体調を調べるような行為はしたことがないはずです。 それでも怪我をしたり調子が悪かったら保健の先生に診てもらおう、と考えるのは、それだけ頼りがいのある存在だということなのでしょうか。

保健に関する指導

学校では流行の病気や怪我の予防について、担任の先生と協力して授業やホームルームで養護教諭が生徒に指導を行います。 風邪をひきやすい時期には手洗いやうがいの励行を呼びかけて、生徒が風邪をひかないように指導します。 6月は全国的に虫歯予防デーになりますので、この時期には歯の磨き方を全校集会で生徒の前で教育的指導したり虫歯の恐さを解説します。 他にも校内の環境衛生調査を定期的に行い、生徒が安全に授業を受けられる環境を維持するために尽力しています。 学校の水道の水質検査や空気検査など校内の至る所に危険物質はないか調べ、児童の健康を損なう原因となりうるものがあれば速やかに対策して除去します。 校内の衛生状態に問題があれば学校に通うことでその生徒が病気になってしまうことになりますが、そんな学校にするわけにはいきません。 生徒が快適に安心して学業に専念できる環境を維持することも、養護教諭の大事な役割のひとつなのです。 不衛生で雑菌だらけ、あちこちから異臭がする汚らしい校舎では生徒の健やかな成長は望めませんし、保護者の方も安心して子供を学校に通わすことができません。 あの学校に通うとそれだけで病気になりそう、と思われないよう校内の環境にも気を配らなければいけないのです。

保健の先生

養護教諭は保健の先生として怪我をして保健室にやってくる生徒の対応をしたり、ストレスを抱えていたり心配事のある生徒の相談にのってあげます。 特に最近では怪我や身体に関することよりも心に関する悩み相談が増えてきており、生徒の繊細な心のケアをするカウンセラー的役割としても大きな期待をされています。 いかに健康的な学校生活を送るか、円滑な友人関係を築くにはどうすればよいか、学校生活の中で注意すべきことをアドバイスします。 授業が理解できればそれだけで楽しく学校に通えるほど生徒の心は単純ではありません。 友人と楽しくおしゃべりしたり、学校で行われる行事や放課後の部活動、休日の過ごし方などでは親しい友人を持つことが学校を楽しい場所にする理由になります。 ですが生徒みんなが友達作りが上手なわけではありませんし、クラスの集団の中では性格や趣味の問題で孤立してしまう生徒も出てきます。 そんな生徒は登校することを苦痛に感じるケースもあり、放置していてはやがて登校拒否生徒になるかもしれません。 学校を楽しい場所にしてあげる、そのアドバイスをしてあげるのが保健の先生で、せめて保健室くらいは居心地のよい場所として開放し、学校での心安らぐ居場所として機能させるのです。 いじめ問題も最近では深刻な社会問題になりつつありますし、教室に自分の居場所のない生徒はどこの学校にも存在します。 しかし担任の先生がそのことに気付いていないケース、生徒の助けて欲しいサインを見落としてしまうことも多く、養護教諭がそんな生徒をいち早く見つけて精神面からも救ってあげることもあります。